FIGHTER-INTERVIEW

岡山ジム主催興行に向けての選手インタビュー特集です

第8回 岡山ジム主催興行 岩浪悠弥インタビュー

第4試合 セントラルグループ presents 岡山ZAIMAX MUAYTHAI 55kg賞金トーナメント 準決勝戦(Bブロック) 3分3回戦(延長1ラウンド)

 

壱・センチャイジム(イッセイ・センチャイジム/センチャイムエタイジム/JAPAN KICKBOXING INNOVATION/元ルンピニースタジアムジャパン認定バンタム級王者)

 

岩浪 悠弥(イワナミ・ユウヤ/橋本道場/JAPAN KICKBOXING INNOVATION/INNOVATIONスーパーバンタム級王者、元INNOVATIONフライ級及びバンタム級王者、元WBCムエタイ日本フライ級王者、ルンピニースタジアムジャパン認定バンタム級王者、MuayThaiOpenバンタム級王者)


1月17日「JAPAN KICKBOXING INNOVATION 認定 第7回岡山ジム主催興行」で「岡山ZAIMAX MUAYTHAI 55kg賞金トーナメント」に出場する岩浪悠弥の特集インタビューを公開させていただきます。

 

ー岡山ZAIMAX MUAYTHAI 55kg賞金トーナメント出場メンバ—ー

 

岩浪 悠弥(イワナミ・ユウヤ/橋本道場/JAPAN KICKBOXING INNOVATION/INNOVATIONスーパーバンタム級王者、元INNOVATIONフライ級及びバンタム級王者、元WBCムエタイ日本フライ級王者、ルンピニースタジアムジャパン認定バンタム級王者、MuayThaiOpenバンタム級王者)

 

元山 祐希(モトヤマ・ユウキ/武勇会/JAPAN KICKBOXING INNOVATION/ICO認定インターコンチネンタルフェザー級王者、INNOVATIONスーパーバンタム級3位)

 

壱・センチャイジム(イッセイ・センチャイジム/センチャイムエタイジム/元ルンピニースタジアムジャパン認定バンタム級王者)

 

加藤 有吾 (カトウ・ユウゴ/RIKIX/WMC日本スーパーバンタム級王者)

 

※トーナメント準決勝戦の組合せは、前日計量終了後、出場者全員がカードを引き、1枚の当たりを引いた選手が対戦相手を指名する(4名トーナメントなので、それにより自動的に全試合決定)システムを採択しました。 


岩浪悠弥インタビュー

取材・文:JAPAN KICKBOXING INNOVATION広報部

 

 

——今回の「岡山ZAIMAX MUAYTHAI 65kg賞金トーナメント」、4名によるワンデイトーナメントは、チャンピオンクラスのトップファイターが見事に集結しましたが、圧倒的な実績からして岩浪選手が頭一つ以上抜けた優勝候補であることは異論なきところでしょう。

 

ありがとうございます。そういっていただけるのは嬉しいのですが目下連敗中で……。

 

——連敗? 昨年10月29日、NO KICK NO LIFE渋谷興行メイン、石井一成戦は、初回、岩浪選手が絶妙なインサイドワークを見せながら、第2ラウンド、石井選手が目を覚ましたかのような鮮やかな肘打ちで痛烈KO負けとなってしまいました。しかし、その前の試合、9月12日、NJKF後楽園ホール興行メイン、WBCムエタイ日本バンタム級王座決定戦は、NJKF王者の一航選手と一進一退のテクニカルな攻防の末、ドロー(チェアマンの支持で一航が新王者に認定)で、白星ではないものの実際連敗などしておりません。

 

一航戦、負けたとは自分でも思いませんが、はっきりと勝利を主張できるような見せ場が作れなかった反省も大きくて自分の中では黒星同然です。

 

——それよりも国内随一の高い防御力を誇る岩浪選手が石井戦で喫したKO負けが衝撃でした。 

昔、タイ人に肘打ちでカットされてのTKO負けはありましたけれど、意識を飛ばされてのKO負けは初めてですし、だいたいあれが生まれて初めてのダウンでした。

 

——30戦のプロキャリアがありながら初ダウン?

 

はい。けど、今では前向きに捉えています。“殻(から)”を破ることができたなって。

 

——殻?

 

 

「生涯ダウンなし」とかアンタッチャブル的に倒されたことがないことを売りにしたいという欲がどこかにあって、無意識でもダウンしないような過剰防御をしていたかもしれないと自分で思っていたんです。もちろん、相手の攻撃を喰わないことは大切ですが、そこから即時攻撃に繋げるには、距離やタイミングなどギリギリに絞らなきゃならないところがあって、その微妙な選択で自分は安全策を取ってしまっていたんじゃないかなって。

 

——トップ選手だからこその微妙なミリの世界の話に聞こえます。

 

そのミリの違いが自分にとっては大きくて、そこを吹っ切れたことで今まで不十分だった大切な武器を手に入れることができた気がするんです。

 

——芸術家のこだわりのようでありながら、革命的な何かが起こる胎動も感じます。

 

 

だから、楽しみでならないんです。新しい自分をリングで爆発させる時が。

 

 

 

——『ドラゴンボール』で悟空がスーパーサイヤ人になるような変身が?

 

ワクワクします!

 

——そこは「オラ、わくわくするぞっ!(悟空のものまね)」では?

 

そ、その方向の殻はまだ破れません(笑)。

 

——すみません、調子に乗って失礼しました。正統派6冠王者の岩浪選手ですから、何の殻でも破ればいいというものではりありませんでした。閑話休題は終えて、そのワクワクは、今度のZAIMAXトーナメントに向けられるわけですね?

 

プロで30戦しながらワンデイトーナメントは初めてですが、毎回豪華で神興行連発の岡山で「あのトーナメントやばかったな!」って、こんなコロナで大変な最中、チケットを買って見に来てくれた方々に楽しんでいただけるものを魅せたいです。

 

——そんな意気込み高いところで、出場他3選手の寸評をいただきます。まず、同じINNOVATIONの雄、元山祐希選手。

 

圧倒的なフィジカルがありますよね。気持ちも強くて下がらずに前に出続けるイメージです。

 

——スーパーフェザー級(58.97kg)のINNOVATION王座争奪争いをしていた選手が55kgにまで落としてくるのですから相当な減量です。

 

それができる確信あっての参戦でしょうし、コンディショニングが上手くいけば、(バンタム級から55kgで戦ってきた)僕らの攻撃は“軽い”としか感じないかもしれません。そこに減量で損なわれないタフネスがあると想定するとやっかいです。

 

——今回の4名ではダークホース的存在の元山選手への警戒も怠らない?

一番無名と見られるということは「喰ってやろう」ってハングリーさが強くあると思うんです。元山選手には、ベテラン的な落ち着きも感じますが、その気持ちが空回りすることなく噛み合うのでは? なんとなく内に秘めた強さも伝わってきます。

 

 

——昨年2019年12月1日、ムエタイオープン新宿FACE興行でルンピニージャパンとMuayThaiOpenのバンタム級王座統一戦として行われた大一番、岩浪選手が1ラウンドKO勝ちで14連勝中の猛進撃を粉砕した壱(イッセイ)・センチャイジム選手は?

 

 本当に強い選手だと思います。自分とやった約1年前は、14連勝で調子に乗った隙を突いたところもあると思っているので、舐めることはできません。昨年の壱選手は、小笠原瑛作選手にKOで敗れ(2020年9月13日、KNOCK OUT、後楽園ホール、1ラウンドKO負け)、コロナで試合もあまりできなかったので良い年ではなかったかもしれません。けど、自分と瑛作選手に倒されたことで、これまで無謀なまでにイケイケだった部分が修正されて手堅く勝つ部分を身に着けていると見ています。その分、僕が撃ち抜いた右ストレート(※1)のような不意な一発はもらいにくくなっているでしょう。それだけに次やる時は、まったく別人と戦うつもりでいます。

 

——最後に現在7連勝と勢いに乗っている加藤有吾選手です。

 

一番警戒しています。見るからに危険な一発を持っていますが、僕が怖いのは、そこに自信を乗せているであろう点です。恐れ知らずに踏み込んでくるパンチは、プラスアルファでスピードも重さも増すものです。

——14連勝中だった壱戦では、その隙を突いたのでは?

 

そこは紙一重で、一歩間違えば自分が沈みます。この前、石井選手にやられて、記憶もなくなっていますが、パンチアイ(※2)じゃないかなって思う症状があって。

 

——それは深刻な。ここで告白してよろしいのでしょうか?

 

悟さん(橋本道場の同門、橋本悟)に指摘されて、自分でもそうだなって感じるところもあって、そのリハビリに頑張って、今はすっかり大丈夫です。けど、加藤選手の強打は、そのパンチアイをまた呼び起こすような威力があるかもしれません。

 

——こうして対戦相手候補分析をお聞きするだに、岩浪選手の真摯な慎重さにこそ強さの秘密があるような気がします。

 

研究して相手の悪いところもインプットしますけれど、自分はそれより最強の状態を想定します。それは怖い作業でもありながら楽しい部分も確かにあるんです。

 

——そればかりはトップファイターにしか味わえない特権的なマインドゲームでしょう。それとトーナメントの組合せが、前日計量終了後、出場者全員がカードを引き、1枚の当たりを引いた選手が対戦相手を指名する(4名トーナメントなので、それにより自動的に全試合決定)システムを採択しています。岩浪選手が指名権を得たら、誰と初戦を戦いますか?

 

 

あえて希望を作らないようにしています。ただ、個人的な興味で壱×加藤を見たいなとは思います。

 

——元山選手狙いではなく?

 

はい、ハズレを引いて当然。誰に指名されようとされまいと全員と戦う準備をしていますので。

 

——初体験のワンデイトーナメントながら初戦から肘打ちが解禁される(※3)過酷な企画です。

 

1日2試合することに関するスタミナの不安はまったくありません。完全決着の必要からマスト判定の延長ラウンドがひとつあるので、優勝まで2試合フルであれば4回戦が2回の8ラウンドやるわけですが、師範(橋本敏彦会長)の追い込みで、その程度なら試合が終わってもピンピンしていられる鍛え方をしていただいています。その自信があるから初めてだからの不安はないです。

 

——今回の試合、どこに注目してほしいですか?

 

全体的なスペックを上げていますが、スピード、中でも爆発的な瞬発力を集中して師範にご指導いただいています。

 

——数年前の岩浪選手は「負けないけれども倒せない」という強くとももどかしいところがおありでしたが、2017年8月19日、INNOVATIONバンタム級王座決定戦の若月勇磨でライフルのような一撃で103秒失神KO勝ち以来、開眼したかのような殺気を纏うようになり、壱戦でのKO劇の最中には右直打で倒して膝蹴りの追撃をしてしまい反則減点を課せられる荒々しさも見せました。次々と進化していく岩浪選手が前試合で初ダウンからのKO負けという試練を受け、そこから更なるエボリューションを予告しているわけで、その実際が放たれるZAIMAXトーナメントが楽しみでなりません。ここで完全優勝したとなれば、その先には何が見えるのでしょう?

 

倒されながらも最高のリングと感じたNO KICK NO LIFEには、また呼んでいただき、そこから石井戦のリマッチまで辿り着くのが理想です。それとホームであるINNOVATIONは、是非とも自分の力で盛り上げたいなと。

 

——キャリアのほとんどで肘打ちありの純キックボクシングを戦われてきた岩浪選手ですが、53kgトーナメント開催が噂され、55kgには那須川天心を擁するRISEは?

 

バンタム級(53.52kg)が苦しくなっているのでRISEさんの53kgトーナメントは意識したことはありませんが「肘なしでも岩浪悠弥が見たい」と言われるような活躍をして声をかけていただければ挑戦したい気持ちは十分にあります。石井選手がそういう域にいますよね?

 

——少年時代のアマから実績を重ね、まだ23歳でこの落ち着き。それでいながらまだ成長中と言われるのですから、これからが楽しみです。

 

はい! けど、中学卒業からすぐプロデビューでもう7年目ですし、あと10年するものではないと心得ています。だからこそ、今は生活のほとんどを格闘技に集中させて自分の可能性を見極めます。そうやって培った“気持ち”が他とは段違いだということを試合で見せつけますので、よろしくお願いいたします!

 

※1 撃ち抜いた右ストレート 岩浪×壱は、1ラウンド、スリーノックダウンによるKOで岩浪勝利となったが、ファーストダウンの右ストレートでほぼすべてが決したような一発だった。この試合は格闘技情報サイトの有料会員になることで動画(https://efight.jp/ringsidemovie-20191202_376764)が確認できる。

 

※2 パンチアイ 強烈なパンチによるノックダウンの後遺症で、自分に迫りくるパンチを見るだけで身体が硬直し、無意識に目を背けてしまうなど過剰な反応をしてしまうことがある。ボクシング漫画『はじめの一歩』で取り上げられ有名になった。

 

 

※3 初戦から肘打ちが解禁される 肘打ちや首相撲無制限が通常のムエタイまたは純キックボクシングルールにおいてワンデイトーナメント企画が行われる場合、序盤で裂傷を負うことを避ける必要性から、肘打ちありは決勝戦のみとする場合が多い。

リングネーム:岩浪 悠弥
フリガナ:イワナミ・ユウヤ
所属:橋本道場/Japan Kickboxing Innovation
生年月日:1998年1月6日(23歳)
出身地;東京都青梅市
身長:170cm
戦型:オーソドックス
プロデビュー:2013年10月14日
戦績:30戦19勝(3KO)9敗2分
ステータス:INNOVATIONスーパーバンタム級王者、元INNOVATIONフライ級及びバンタム級王者、元WBCムエタイ日本フライ級王者、ルンピニースタジアムジャパン認定バンタム級王者、MuayThaiOpenバンタム級王者